2013年10月13日日曜日

2.ギリシア神話

呉茂一著 岩波書店

二冊目はギリシア神話です。
あの複雑な神々の系譜はどうなってるの??と思いながら読みました



ギリシア神話は小学校の教室にあったような気がします。
でも、実は“ギリシア神話”というタイトルの物語はないんです!
詩人達の伝えた話を参考に、後世、各自編纂しているとのこと。
知らなかったです。

今回の本はその中でも内容豊富との紹介でしたので
色々な物語がちりばめられているのだろうと思いきや、
まったくの勘違いでした。
一般にも分かるように書かれてはいるものの、ほとんど研究書ですね。
その文体の独特さもあって、最初開いたとき、「うっ。。。」と言葉に
つまりました。

上巻は概要と主要な神ごとの章、
下巻はその続きと英雄、有名な叙事詩の紹介となります。
ただ、主要な神に対する地域考察が多いので、
むしろ地域ごとの信仰として紹介してもらえると、
著者のギリシア神話に対する視点を
より楽しめたのかな、と思いました。

とにかく最初は読みにくいですが、
後半に入ると、著者の古詩のような文体が、
このギリシア神話世界を、よりドラマティックに魅せてくれて、
()書きの著者ツッコミも面白く、好きになりました。
著者の日本民話に対する知識も相当豊富そうです。

聖書同様、こちらも後世たくさん引用されていますし、
西洋言語の語源になっていたりしますので、
西洋文学理解において必読というのは
間違いないと思いました。

引用といえば、知らなかったのですが、
『千と千尋の神隠し』冒頭の豚になる話は
『オデュッセイア』からとっていたのですね。
終わり方は『クラバート』からという話もありますし、
文学探検は現代とつながるのが面白いです。
(宮崎作品好きですが、それよりもクラバートファンなので、
個人的に、『クラバート』説は無理から反対してます。。。)

聖書のあとのギリシア神話。。。
とても辛いものがありましたが、
下巻に入るころには神々の非道も減り、
落ち着いて読めました。

余談ですが、こちらを読んだ後に、
人間ドラマを売りにした小説作品を読むと、
たとえ名作と言われたものでも、
結末に対して「ああ、その程度?」となってしまうので、
読むタイミングは考えた方がよいと思いました!
じつは取扱い注意です!!

0 件のコメント:

コメントを投稿