文語訳 日本聖書協会発行
一冊目は聖書です。
自らと共に在る神ってどんな思想なんでしょ?と思いながら読みました
西洋文学においては必読と思われる聖書ですが、
実際読んでみて、「ほんとに必読!!!」という感想です。
どのあたりが、と言われると説明が難しいのですが、
いくつか挙げてみますと、
まず、“神”や“愛”についての概念を体験できること、
「解釈」というプロセスの重みを理解できること、
さらに、聖書内容を背景とした文学への味わいを深められること、
その他、より単純には、“目から鱗”とか“豚に真珠”等、
有名故事の由来を知ることができる、
などです。
これまでたくさんの作品に接する中で
なんとなくイメージしてきた“神”や“愛”でしたが、
キリスト教的価値観による人間賛歌のような作品
(『レ・ミゼラブル』や『モンテ・クリスト伯』など)に対して、
自分のイメージがあまりに貧困であったことを知りました。
日本でも現代は“神”や“愛”という言葉に抵抗も少なく、
それこそサブカルには節操なくとびかっていますので、
それらの作品にはそれらの作品にあう適度なイメージで読み、
西洋文学を読む際には、身につけた新たなイメージで読める、という
視点の広がりが嬉しかったです。
倫理の授業で一連の宗教は習っているわけですから、
理解ある人であれば、こういった発見はないのかもしれませんが、
私のような人間には聖書くらいのボリュームじゃないと
頭に入りませんでした!
「解釈」については、とにかくヨブ記です。
どこに救済があるのか、一読では全く理解できないヨブ記、
最初はびっくりしました。
何度も読んでいると、少しずつ納得してきます。
といっても、内容に対する納得ではなく、
何度も読んでその都度解釈するしかない、という納得。。。笑
こんなのと付き合える西洋人、すごい。。。
そりゃ哲学の本場にもなるし、科学論文にも冒頭に哲学入れてくるわけだ、と思いました。
科学でも、くやしいかな哲学が入っている方がその人の主張を理解、納得しやすいんですよね。
もちろん、日本人でもできる人はできているので、
特定の宗教背景ではなく、センスや訓練次第なのだと思います。
「解釈」というプロセスは、やろうと思わなければやらずにすむ作品も
多いと思いますが、このヨブ記は、読み流そうと思っても読み流せない、
どうしても解釈したくなる、という魅力があります。
新約に入ってからの喩えの軽快、絶妙さ、パウロ編からの説の飛躍、展開は
一冊の読み物中の展開として面白かったです。
他にも歴史書として興味深いところもあり、
創世記なんかは特に周辺地域との関わりを示していて、
他の神話とつい比較し、古代ロマンに思いを馳せてしまいます^^
今回読んだのが、プロテスタント系ということもあり、
卑近なミステリーにたとえさせていただくと、
旧約が謎編、新約が解決編のような構成です。
文学のために読みたいけど尻込みしている人に、
この譬えが少しでも手掛かりになれば。
とっても分厚く、サイトに従い文語訳にしてしまったので、
素人には大変な難行でしたが、読めてよかったです。
聖書を読む日がくるとはなぁ。。。
聖書を引用している作品の多さにもほんとびっくり。
今回は宗教書なので、信者ではない人間は、これくらいで黙ります。
あくまで文学の参考としての読書試みでした。
それでは。
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